石川県を舞台に在宅医療を描いた映画『いのちの停車場』(2021年5月公開)はロケ地の多くが金沢市だったことから、一時は”聖地巡り”する観光客が増えたほどです。かと思えばメディアミックス作品『ラブライブ!』シリーズの新プロジェクトが金沢市辺りにある学校を舞台としているため注目を集めています。ほかにもさまざまな名作が金沢ロケを行っていることはご存じですか。
吉永小百合主演映画『いのちの停車場』(画像は『映画「いのちの停車場」公式サイト』より)
『いのちの停車場』金沢ロケ地
内科医で小説家の南杏子さんが終末期医療を題材に書いた同名小説を原作とする映画『いのちの停車場』は、金沢のまちで在宅医療を行う「まほろば診療所」の医師や訪問看護師、患者とその家族を描いたものです。ちなみに南さんの小説『いのちの十字路(2023年4月)』は続編になります。
映画『いのちの停車場』のメインキャストは在宅医・白石咲和子を吉永小百合、訪問看護師・星野麻世を広瀬すず、運転手で医大卒業生・野呂聖二を松坂桃李が務めて話題になりました。また院長・仙川徹を西田敏行、咲和子の父親・白石達郎を田中泯、「まほろば診療所」の患者となる芸者・寺田智恵子を小池栄子、咲和子の幼馴染で女流囲碁棋士の中川朋子を石田ゆり子が演じたほか南野陽子、泉谷しげる、松金よね子、柳葉敏郎、森口瑤子、みなみらんぼうなど豪華キャスト陣が顔を並べました。
劇中に出てくるのが金沢の川と橋、坂道や階段の風景です(画像は『photoAC』より)。
↑大正11年12月(1922年)に架橋された浅野川大橋。
国道159号の金沢市橋場町・主計町~東山にあり、2000年には国の登録有形文化財に指定されました。
↑金沢市の東山と並木町の間に架けられている「梅ノ橋」
↑金沢市を流れる犀川の桜
↑金沢・主計町茶屋街の「暗がり坂」
↑主計町緑水苑の桜
金沢を舞台とした名作
リアルタイム「スクールカレンダー」連動プロジェクト『蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ』はスマホアプリ「Link!Like!ラブライブ!」の機能限定版が4月に先行リリース、5月には本格リリースされる予定です。2022年10月には公式SNSが「石川県金沢市から奥まった場所」と学校の所在地に触れたことから、イラストに描かれた光景を見て「あそこの公園じゃないか?」などと憶測が飛んだものです。2023年に入って校舎のイラストが公開されると「あの学校がモチーフでは」とさらに情報交換が行われて、舞台を”聖地巡礼”した「ラブライバー」(ファンの総称)によるツイートで盛り上がっています。
テレビアニメ『花咲くいろは』(2011年4月~9月)が金沢市湯涌温泉を舞台にしていることは有名で、アニメに登場する「ぼんぼり祭り」まで実際に開催されるようになりました。
北陸を舞台とした松本清張さんの長編推理小説『ゼロの焦点』は数々の映画やドラマになっており、金沢市でもロケを行ったようです。広末涼子・中谷美紀・木村多江の競演が話題になった映画『ゼロの焦点』(2009年11月公開)のロケでは「金沢フィルムコミッション」の支援を得ています。
また歴史学者・磯田道史氏の著書『武士の家計簿 「加賀藩御算用者」の幕末維新』(2003年)を実写化した堺雅人主演映画『武士の家計簿』(2010年公開)は金沢城公園などでロケを行っています。監督・脚本は違いますが、江戸時代の加賀藩を舞台にした上戸彩・高良健吾主演映画『武士の献立』(2013年12月公開)も「金沢フィルムコミッション」の協力でロケを行いました。
実は吉永小百合がマドンナ役で出演した映画『男はつらいよ 柴又慕情』(1972年8月公開)でも金沢市でロケを行っているのです。
主計町緑水苑の情報
松坂桃李は2020年10月に『いのちの停車場』をクランクアップした際、吉永小百合をはじめキャスト・スタッフについて「懐が深く、温かい現場でした」とツイートしており、2021年5月に公開されると「今のこの状況で閉まっている劇場もあります。『是非劇場で観てください!!』と声を大にして言いにくいですが、今だからこそ創られた作品だと強く思います」と胸中をつぶやきました。緊急事態宣言が続くなか公開するまでの苦労がうかがわれるとともに、医療関係者の皆さんに向けたリスペクトを感じました。
吉永小百合も主計町緑水苑でクランクアップした際に、「クランクインできるかどうかさえ不安だったのですが、スタッフの皆さんがいろいろな困難に耐えてくださり、この日を迎えられたことに感謝しかありません」と語っていました。
映画『いのちの停車場』のロケ地の1つ主計町緑水苑は、金沢市制百周年記念事業の一環として整備された、金沢城西側の内堀の流水を活用した親水公園です。春はしだれ桜の名所として知られます。
スポット名 | 主計町緑水苑 |
住所 | 石川県金沢市東山3-1 |